地理の授業で覚えるのに苦労したバルト三国、「エストニア、ラトビア、リトアニア」。
今考えたらあいうえお順に並んでいてなんと覚えやすい並びだったことか!
そんなバルト三国へは日本から直行便がないため、なかなか行く機会がないと思います。
でもね、地理的も文化的も北欧なのに、物価は北欧諸国よりは安い!
中世にはハンザ同盟都市として栄えたから、北ドイツを彷彿とさせる建物や町並みがありつつ、スウェーデンとロシアに支配された歴史を感じる建物もあるんです。
今回はそんなバルト三国の中で、一番北に位置するエストニアのタリンに行ってきました。
海を挟んでヘルシンキの向かい側に位置するタリンは、ヘルシンキからフェリーで日帰り旅行をすることも可能。
私はタリン郊外の国立公園に行きたかったこともあり、ドイツから飛行機で3泊4日の旅です。
特にこれからヘルシンキに行く人には「ぜひ日帰りででも行ってみて!」と強く勧めたいくらい、とにかくすごくすごくオススメです!
タリン空港から市内への行き方
空港から出るトラムは4番だけで、始発&終点駅なので乗り間違える心配もありません。
チケットは空港内のキオスクか、オンラインで購入できます。新しいトラムにはクレジットカードをタッチして1回券分を支払える機械が搭載されており、WiFiも使えて便利です。
今回は3泊4日の日程でホテルは旧市街のすぐ近く。主な観光先は徒歩圏内だったので、チケットはその都度購入しました。観光プランによっては乗り放題のチケットが便利です。
ヴィル門(Viru Väravad)
まずは旧市街の入り口として構えるヴィル門。
旧市街に向けてこの門をくぐり、右手の城壁沿いにあの有名な「セーターの壁」なるニット製品の露店が出る場所があります。
そう、私もそこでニット製品をお安く手に入れるつもりだったのだけど・・・
なんと、露店が跡形もない!!!滞在した4日間とも何もなかったので、曜日は関係ない模様?
市庁舎とラエコヤ広場(Raekoja plats)
ヴィル門からまっすぐ歩いて行くとラエコヤ広場に到着。右の建物が旧市庁舎です。
ドラゴンの頭の形をしたガーゴイル(雨どい)がなんとも良い味出してる。
旧市庁舎の塔にも登ることができますが、夏季限定&日・月曜は定休日なので要注意!
広場を囲むカラフルな建物はストックホルムや他のハンザ同盟都市を彷彿とさせます。
冬はここでクリスマスマーケットが開催され、さらに可愛らしい雰囲気になること間違いなし!
聖オレフ教会(Oleviste kogudus)
ゴシック様式の聖オレフ教会。
この塔はタリン旧市街の中では一番高く、展望台からは旧市街を一望することができます。
現在の尖塔の高さは124mですが、一時は(1549年~1625年まで)世界で一番高い建物だったんです。その高さなんと159m!ただその後何度も落雷で焼け、現在の姿に。
私が行った時は残念ながら展望台が閉鎖されていて登れずじまい。
高さは劣るけど、その分城壁と展望台からも眺めを堪能できるから良しとします!
聖カタリーナ通り(Katariina käik)
まるでここだけ違う時間が流れているかのような聖カタリーナ通りは、Vene通りとMüürivahe通りをつなぐ小道です。
思わず声を潜めてしまいそうなひっそりとした雰囲気で、どことなくイギリスを思わせる石壁が囲みます。
15~17世紀に建てられた、通りの両サイドの小部屋には工房が入っていて、ガラス製品、陶器、レザークラフト、ウール製品の見学や購入が可能です。
あれ!?さっきはイギリスっぽい雰囲気だったのに、いつの間にかイタリアっぽい雰囲気?
しかもテラスのある店はピッツェリアだって。期待を裏切らないね~♪
職人たちの中庭(Meistrite Hoov)
ここはその昔、熟練した職人たちに与えられた場所で、現在はアーティストのショップや工房がある一角となっています。
先ほどの聖カタリーナ通りと同様、小道を入ったところにあるので見落とさないように!
この中庭で私の一番のお気に入りは赤い建物のお店。
ほんと、ここの木製品専門の店に何度足を運んだことか・・・
初めはふらっと見るだけだったのに、他のエストニアンショップで同様のバターナイフ、ククサ、カットボードなど木製品を見るうちに欲しくなってしまうからあら不思議(笑)
職人さんの直営店なためか、ここが一番お手頃価格でした!白樺のコブをくりぬいて作った器もほしかったな~。
それからこの中庭をちょっぴり不思議な雰囲気にしているのが、人気のチョコレートカフェ『Pierre Chocolaterie』。
外のテラスにかかるテーブルクロス、なかなか独特じゃない?
カフェの中も同じような感じで色形様々なテーブルとイスが並んでいます。
まるで占いの館に来たような!!!
プラリネにケーキにと悩んだあげく私が選んだのがこちら。
さすがはチョコレート専門店。
ホットチョコレートはかなり濃厚で美味しかったです!
他にも可愛い通りや建物がたくさん!
市議会薬局
15世紀から続くこの薬局はヨーロッパで現存かつ今もなお営業している薬局としては最古なんだとか。
手前の部屋が今も普通に営業している薬局で、奥の部屋には中世に使用された道具たちが展示されており、プチ博物館のようになっています。 しかも見学は無料!
もうね、ハリー・ポッターの魔法薬学の授業に出てきそうなものばかり。
窓からは旧市庁舎が目の前に見えて・・・残念!ホグワーツじゃなかったか~!!
城壁歩き
中世の面影を残す街ならではのアクティビティと言ったら『城壁歩き』。屋根があるので雨の日でも比較的楽しめる場所です。
Hellemanni torn
セーターの壁のすぐ側にあるこのヘレマン塔が建てられたのは14世紀。
時代によっては牢獄や武器庫として使用されました。
家と家の間に小さな庭を発見!
下の通りからでは見えないから、こういう一コマは城壁歩きならではの特権です。
Nunnatorn
ヌンナ塔はNunna、 Sauna、 Kuldjalaの3つの塔をつなぐ城壁歩きの入り口。
受付のおばさん曰く、タリン旧市街にある城壁の塔の中でもここの塔は唯一、中世建設当時の原型が残る部分があります。
どの塔にも城壁とつながる階よりもさらに上に登れる入り口があって、ちょっぴり探検気分。
狭い階段を登った先の部屋はラプンツェルの話に出てきそうで、まさに童話の世界でした。
そんな塔の窓辺でほっこりする置物発見。なごむなぁ~!
ちょうどこの日の天気は雨のち晴れ。
雨が降っている間は城壁歩きで雨宿りしつつ観光続行!と我ながら名案でした。
塔の広場(Tornide väljak)
その名の通り、ここは塔が連なって見えるベストスポット!
城壁の裏側が公園になっていて、まるで中世にタイムスリップしてお城のお庭にいるみたい。
ちなみに毎年夏にはここでフラワーフェスティバルが開催されるようです。
旧市街側の通りも静かで趣があり、おとぎ話の中に迷い込んだよう。路地裏散策好きな人は絶対好きだと思います!
デンマーク国王の庭園(Taani Kuninga Aed)
ディメンター(またもやハリポタ)のような亡霊のような、ちょっぴり不気味な像が何体もあるこの広場は言い伝えによるとデンマーク国旗発祥の地。
じゃあこの亡霊は何?
とあとで調べて見ると、『乙女の塔』と言う名のここの塔は中世には娼婦の収容所として使われていたよう。現在は下町地区を眺めるのにも良い憩いの場所だけど、いろんな歴史があるんですね。
パットクリ展望台(Patkuli Vaateplatvorm)
パトリックじゃないよ、パットクリだよな展望台。
私は旅行中ずっと「パトリック」と覚え間違えていたもので(笑)
ここからのアングルでは塔が手前に来てしっかり見えます。
コフトウッツァ展望台(Kohtuotsa vaateplatvorm)
この展望台からはガイドブックに出てくるような旧市街の可愛らしい風景が堪能できます。
中世の街並みだけじゃなくて、塔が連なって見えるのもポイントです。
こう見ると確かにオラフ教会の高さが際立ちますね!
中には壁のこんな部分まで凝ってる家も。黄緑と赤の模様、分かるかな?
遠くばかり見がちだけど、近くにもいろんな発見があるもんだ♪
アレクサンドル・ネフスキー大聖堂(Aleksander Nevski katedraal)
玉ねぎ型の屋根と言い、外観の装飾と言い、ロシア正教会であることが一目瞭然なアレクサンドル・ネフスキー教会。
ロシアに支配されていた歴史を感じさせますね。
内部の装飾はもちろん豪華!じっくり見たかったけど、ちょうど周りにはお祈りしている方々がいてかなり厳かな雰囲気。お邪魔しては悪いなと、遠慮してそそくさと後にしました。
ふとっちょマルガレータ(Paks Margareeta/Eesti Meremuuseum)
『ふとっちょマルガレータ』と言う愛称を持つこの砲塔が目印の海洋博物館。
名前の由来は諸説あるようで、大砲の1つにちなんで名付けられたとか、かつてここが監獄だった時に囚人の食事係をしていた女性がマルガレータと言う名前だったからとか。
個人的には、後者の由来の方が親しみのあるおばさんが想像できて好きです♪
でもねこの「ふとっちょマルガレータ」さん、旧市街側からだと見えないんです。そんな時は青い旗と船の看板を目印に見つけて下さいね。
そしてこの近くには『三姉妹』と呼ばれるハンザ同盟時代の商人の家が。現在はホテルとして営業中の歴史的建造物です。
タリン港
今回は空路で来たけど、せっかくなので港の下見を兼ねて港周辺をお散歩。
ここから見えるはAターミナル。ドイツのクルーズ船AIDAを発見!次はどこに向かうのかな?
後ろを振り返ると旧市街のオラフ教会がニョキっと見えました。
どこからでも良い目印になって、かつて船乗りの道標になっていたのも納得です。
日曜のお昼前だったこともあり、周りには椅子やレジャーシートを持参して海辺のピクニックをしている人も。地元民にとっては街中にいながらキャンプ気分が味わえる場所なのかも!?
リンナハル(Tallinna Linnahall)
さらに西に進むと見えてくるのは大きな廃墟、リンナハル。旧ソ連時代に建てられたコンサートホールです。
目の前にフィンランド湾が広がる立地な上、ヘリポートまであります。
無機質で冷たい印象を受ける建物だけど、海を眺めるのにはピッタリな穴場スポットです。空が青いと海の色もとってもキレイ!
この海の向こう側にあるヘルシンキに思いを馳せて、旧市街とは打って変わった景色を堪能しました。
タリンは短い時間で中世ヨーロッパの街並み、北欧を感じるにはぴったりの場所です。
治安が良く英語も通じて安心なだけでなく、お一人様でも利用しやすい雰囲気のレストランやカフェがたくさん。
旧市街の物価はドイツと同じくらいですが、ホテルの宿泊料金相場が低めなのは一人旅で訪れる方にはかなり強い味方です!
タリン観光【食事とお買い物編】につづく。